目をそらさないで虐待事故対策を実行していく
私は管理者として、施設内で起きる虐待事故は写真の対岸の火事のように、あってはならないではなく、「あるかもしれない」「起きるかもしれない」と常々考えています。
TV新聞報道等虐待事故が起きると、管理者のコメントはかならず「あってはならない」こと、として謝罪しています。しかし、よく考えると、あってはならない、つまり「あり得ない」こととして、なんにも対策や施設内での検討を行っていなかった、としか思えてなりません。施設長はじめ主任、リーダーがこのことについて報道と同じように「あり得ない」こととして認識している、そう認識しているので行動を起こさないというような、そのような状態にあることが「原因」ではないかと考えています。職員による虐待事故は職員個々の要因だけではなく組織の構造的問題あるいは課題ではないかと考えます。
では、私たちが行う防止対策はどう実行していけばいいのでしょうか。
◎まず、“あり得ない”ではなく「起きるかもしれない」という認識に立つ。
◎倫理観(モラル意識)の向上
・身体拘束廃止の取り組みの勉強 ・認知症ケアの勉強会・人権擁護について等々
さらには
一番重要なのが。モラル意識!
モラル意識の向上は大切だけど、はたして虐待事故の原因は個人のモラル意識の欠如だけ?でしょうか?
組織や職場の業務の仕組みや職場環境が原因で起きている可能性もあるのではないかと思います。個人の意識の向上もとても重要でありますが、組織の仕組みによって虐待事故を防ぐという取り組みを実行していくことが重要で組織にとってなくてはならない機能のひとつであると考えます。
1 スピーチロック等の場面に遭遇した場合、もしくは自分がしてしまった場合は、リーダー若しくは主任に報告相談する。
主任より施設長へ報告する。と同時に当該職員、当該リーダーも施設長へ直接報告する(個の責任だけではなくチームとして起きた事実を受け止めて、どう改善させていくかの意志表示とします)
・報告の義務が私たちにはあります。
・リーダーは関係職員から、もしくはユニット内での可能な限り、その言動の事実を確認する。
・なぜ、そのような事態になったのかユニット会議を緊急に開催し、当該職員の改善努力は勿論でありますが、それよりもチームとしてどう具体的に介護場面での困難な状況に対応していくのかを話し合う。共有して共通認識のもとすすんでいく。
・この報告書については、リーダーが記録するとし会議後は早急に上司に確認してもらうと同時に決済後は、ユニット内のメンバーにも周知及び確認を行う。
2 理性を失うような場面では独りで頑張らず一度引き下がり、他の職員がバックアップする仕組み・体制を作る。
どんな場面でも自己抑制ができる、と自信をもっている職員は多いのですが人間の理性はそれほど強くありません。認知症の方の不可解の行動、理不尽な行為に対して、介護者自身の気分やメンタル、体調の良いときはいい対応ができますが、そうでないときもあります。体調不良や疲れ、イライラしているときに「何とかしなければならない」と義務感が強ければ強いほど、逆に理性や抑制力を失います。
・理性を失うような体験を話し合う(出し合うといったほうがいいかもしれません)
・その理性を失うような場面があることを自覚する。決してタブーではない
・利用者対応の実際場面で理性を失う場面を洗い出す
・理性を失いそうになった時の対応方法を話合い→ユニット内、ユニット間の方法とする
3 介護の仕事で溜まったストレスは介護(職場で)で解消できるよう、ストレス解消とモラル維持の仕組みを作る。
認知症の方の一見不可解の行動や利用者の理不尽の行為に対して、職員が被害者意識を持ち職員同士でこの被害者意識を共有することで、慰め合い、楽な気持ちになろうとすることがあります。愚痴に始まりエスカレートしていきます。いつの間にか入居者を罵倒する。気づかない間に全体がモラル低下し、言葉による虐待が許され、次に小さな~となっていきます。すでに気づいているはずです。自らの知識、技術の足りなさのために問題老人を自ら作ってしまっていることを。
・専門職としての自ら自己啓発。
・入居者のBPSDの改善を目的とした話合い(ユニットでの)を持つ。
・認知症介護実践委員会による認知症ケアの勉強会
・入居者(認知症のある方)のヒストリーを知ろう、生活習慣を知ろう。ユニット内で共有する
・入居者や職員に対する大きな声での元気の良い挨拶の徹底。
・風とおしのよいユニットを作るためにリーダーが上記を行動で示していく。
4 極端に適正に欠ける場合やモラル欠如が明らかである場合は施設長が異動等の判断を行います
介護職としての必要な技術、知識、価値というよりは、自己抑制能力によると考えます。介護の実践場面では理性を失ってしまうかもしれない場面はあるかもしれません。しかしその矛先を入居者に向けてしまい貶めたり、蔑んだりするという言動につながるという状況は、職員個人の性格が原因で虐待するケースといえます。「ガマンできない」「他人よる極端に自分を優先する」「感情が高ぶると自己抑制ができない」など、自己中心的な性格による行為であり、その上で自己を正当化します。自己抑制能力があきらかに欠けているので介護職としての適性が疑われます。
・可能な限り事実確認を行い、当該職員と今後についての話合いを施設長が持ちます。
・明らかに、貶める、貶す、蔑む等の言動があった場面
・認知症の方の呼びかけに対して全く応じない(ネグレクト)
なかなか現実を直視することがそうそう簡単にはいかなくて難しいことです。しかし、自身よりを超えた役割を担っているのです。役割は人を超えると考えます。ここが問題、ここが課題だと言葉に出して超え高々と言う人はいくらでもいます、しかし、その問題や課題を当事者としての目で見つめ、今日よりも明日へと、行動していくことが必要でそんな人たちがいる組織は力強いのです。鍵は個人の力やカリスマ性をもった人だけに視点をおくのではなく、あくまでも組織活動にしていくという考え。認知症介護実践委員会や、さまざまの課題に対する改善策のスタイル、これをとにかくオープンにしていくということ。
組織活動はそこに身をおいて取り組んでいる人たちに懸かっている。
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